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栗原 成計; 大島 宏之; 門出 政則*
Heat Transfer-Asian Research, 39(8), p.628 - 633, 2010/12
高速炉蒸気発生器では、伝熱管損傷による水漏えいでナトリウムと水とが化学反応を起こし伝熱管損傷範囲が拡大する可能性がある(ナトリウム-水反応)。ナトリウム-水反応時の高精度予測には伝熱管内部の伝熱特性を理解することが重要であるため、高周波誘導加熱装置による急速加熱試験を実施した。実験では試験体加熱部の3断面で周方向の異なる2か所において伝熱管壁の温度変化を測定し、逆解法を用いて急速加熱時の内表面熱流束及び温度を評価した。実測した外表面熱流束と逆問題による評価値を比べ20%以内の精度で評価できることを確認した。内表面の伝熱特性は質量流量の影響を強く受け、内表面では加熱時に核沸騰から遷移・膜沸騰へ推移し、加熱制御時に核沸騰へ戻ることを確認した。遷移沸騰域では沸騰曲線で左回りのサイクルが現れており、核沸騰と膜沸騰が時間変化に対して空間的に共存した状態となっている。併せて、高温ラプチャに適用できる伝熱相関式を確認した。
稲葉 良知; Zhang, Y.*; 武田 哲明; 椎名 保顕
Heat Transfer-Asian Research, 34(5), p.293 - 308, 2005/07
高温ガス炉の炉容器冷却システムの1つに、水による冷却パネルを用い、自然対流と熱放射により間接的に炉心を冷却するシステムがあり、高温工学試験研究炉(HTTR)においても、このシステムが採用されている。本研究では、HTTRの原子炉圧力容器-冷却パネル間内高温気体の熱伝達特性を調べるため、内筒を加熱、外筒を冷却した鉛直同心二重円筒内の面間の熱放射を伴う自然対流熱伝達に関する実験と数値解析を行った。実験において、環状空間の高さに基づいたレイレー数は、ヘリウムガスに対して2.010Ra5.410、窒素ガスに対して1.210Ra3.510となった。また数値解析の結果は、加熱壁面と冷却壁面の温度に関して実験とよく一致した。実験と数値解析の結果から、面間の熱放射を伴う自然対流熱伝達に関する相関式を、レイレー数,半径比,加熱壁面及び冷却壁面の温度と熱放射率の関数として得た。
今井 悦也*; 椎名 保顕; 菱田 誠*
Heat Transfer-Asian Research, 30(4), p.301 - 312, 2001/06
サーモサイフォンを用いた受動的冷却特性を調べるため、開放型サーモサイフォンの熱伝達実験を行い、流れと熱伝達の関係を調べた。水を用いた実験結果から伝熱形態は3つに分類される。第1はレイリー数(Ram)領域、10Ram410で、加熱面の温度境界層が管中央付近にまで達する。第2は410Ram310で、温度境界層が壁近傍に局在し、中央下降流との伝熱が少ない。第3は310Ram310の領域で、下降流に流れが生じる。第3領域では管上半部で乱れが生成されるが、下半部では第2領域と同じ流れが形成された。乱れは管入口不において、下降流と上昇流の干渉により生成され、レイリー数がさらに増加すると下流に拡大される。乱れの生成とともに流れが妨げられ、熱伝達の増加が抑制される。本実験により、水を用いた場合の理論解とのずれ、各実験者による結果のバラつきの原因の一端と明らかにした。